

冬の市民狂言会はやや来場が減る傾向ですが、今回は4分の3程埋まっていたでしょうか。
演目開始前、観客席にはやや緊張感が漂っていました。
第220回市民狂言会の演目は…
・狂言こぼれ話〈99〉
丸石やすし
・狂言「福の神」
茂山茂、茂山良暢、茂山千作
・独吟「雪山」
茂山忠三郎
・狂言「狐塚」
茂山正邦、茂山あきら、茂山千三郎
・狂言「米市」
茂山千五郎、茂山七五三、茂山童司、茂山逸平、鈴木実、山下守之、山口耕道、茂山宗彦
4日(土曜)午後、二世・茂山千之丞先生が御逝去されました。
市民狂言会開始以来、出演を始め企画や運営など担っておられました。
市民狂言会冒頭の「狂言こぼれ話」も担当。
毎回、軽妙なトークで会場を和ませ、演目の簡単な解説、さらに狂言とはどのような伝統芸能か?さらに狂言を初めて見る方へのアドバイス等々…
「狂言の世界を皆さんに身近に、より深く、触れてもらいたい!」
この熱意がひしひしと伝わる楽しい時間でした。
会場に来られた方、ほとんどの方が訃報を聞いておられたことでしょう。
その緊張感が開演の案内へ時間が迫る中、感じられました。
「狂言こぼれ話<99>」担当は愛弟子・丸石やすし氏。
冒頭の言葉は…
「重たい空気です。」
の言葉からスタート。しかしながら…
「狂言は笑っていただくものです。これには皆さんのご協力が肝心です。」
「では、ここで狂言の“笑い”を皆さんで練習しましょう!」
はぁーーーーーっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ

丸石さんの大きな笑い声に会場がやや和やかに。
皆さんで練習しまょう!
一回目。当然、上手くゆかず…
丸石さんの絶妙なツッコミ!!!
二回目。「格段の進歩です!!!」
「ただ、笑顔が足りません。見えるのは私だけ!」
三回目。「素晴らしいっ!!!」
皆さん、大なり小なり声を出して笑って、“緊張”の言葉が一気に吐き出されました。
いやぁ〜


で、演目の紹介と初狂言の方へ基本の案内をし、演目へと進みました。
丸石さんが舞台から降りられるときは盛大な拍手

千之丞先生の訃報に関しての発言はありませんでしたが、皆さんへの想い、皆さんからの想いは充分に伝わった“こぼれ話”は感動でした

独吟「雪山」で茂山忠三郎さんは冒頭、
「茂山千之丞様のご冥福を祈ります。」
と、黙祷。感謝の挨拶をされ、演目へ。
黙祷中に会場からは鼻をすする音が微かに響きます。
どのような言葉より想いと姿勢に感銘と哀悼の意を捧げました。
どの演目も、どの演者の方も、いつも以上に想いが伝わり、笑いを創造し、熱いモノが伝わります

約2時間の市民狂言会は拍手喝采で故人に捧げる舞台が無事、終了しました。
小生、亡き先生と遠いながらも縁がありました。
ワンセグで逝去の報道を知り驚愕しました。
狂言を拝見するきっかけ、さらに落語や絵画展等々、様々にご縁がありました。
足を運ぶことを後ろから押していただいた想いが勝手ながら抱いています。
素晴らしい美声と豊かな声量に魅了されました。
“本物の芸”を体験する大切さを教授頂き感謝申し上げます。
合掌。
ラベル:市民狂言会