
『向井潤吉展 〜わかちがたい風景とともに〜』
京都高島屋グランドホールまで行ってきました

向井潤吉とは…
戦後より一貫して、日本の風土に根ざした茅葺き屋根の民家をモティーフとして、制作を重ねてこられました。
戦後の高度経済成長の中で次々にその姿を消していく民家を求め、向井先生はつねに現場におもむき、そして、誇張のない的確な写実表現によって、民家のありのままの姿を生き生きととらえてきました。それはまた、日本の美しい風土そのものを描き残してきたとも言えましょう。
※世田谷美術館分館向井潤吉アトリエ館 略歴より
1901年〜1995年。京都に生まれ、渡欧し油絵を中心に模写などで勉学。
さらに戦時中は従軍画家、戦後は民家の絵を描き続けました。
『向井潤吉展』では、渡欧時代の作品から水彩画、民家まで130点展示されました。
それぞれの「民家」は戦後まもなくから描かれ始めます。
何気ない日本の“田舎”呼ばれる地方の風景。
農家であり
漁港であり
山の麓であり
心のなかの“あっ!懐かしい

東京オリンピックの昭和39年頃の作品。
東京などの都市は高度成長で続々とコンクリートが建てられましたが、描かれる地域の民家は戦後まもなくとほぼ変わらない「民家」風景に驚き

昭和50年前後で向井潤吉氏の絵のタッチに変化があったように感じました。
それまでの作品は“その風景を全て描ききろう”との感覚がありました。
一方その後は“素直に”とじっくり味わえる作品のように感じられました。
これは小生が受け取ったコトなのであしからず

最後に『向井潤吉展』で一番印象に残った作品があります。
『影 (蘇州上空にて)』
昭和13年、従軍時代に描かれ作品です。
中国・蘇州の町並み上空に飛行機が飛ぶ影を描いた作品。恐らく旧日本軍の戦闘機でしょう。
小さな家々が並ぶ町並みに圧倒的な大きさ誇る戦闘機。
日本の力を中国の人々に誇示するかのような作品です。
どこか悲しい。
血や銃、刀、軍服、軍人が描かれず戦争の惨さが伝わります。
是非、個展や検索などで一度ご覧下さい
